トルコ・シリアで起こった地震は人に止めることはできなかった.でも,黒海を挟んだ目と鼻の先で起こっている戦争は人が止められたはずだったし,これからも人によって止めることができる.防ぐことのできない災害では生きることを望んでも叶わなかった人が大勢いるのに,リーダーが決断しさえすれば戦争で失われる命を直ぐに止められ,殺し合いをしていた屈強な兵士を対岸の災害に派遣すれば,更なる命を救い復興に協力することすらできる.この決断はそんなに難しいことなのか?
翻って,外国からの侵略に備えが不十分だから,何がどう危険なのかも説明せず,増税してまで軍備の増強を強行しようとする政府がある.この国は災害の絶えない国で,100年に一度と言われる程の地震を,50年くらいしか生きていない私は数度目にしている.更にその合間には洪水やら台風やらが毎年のように荒れ狂っている.自衛隊はそこで強力な力を発揮しているが,彼らを敵地攻撃に差し向ける防衛哲学の大転換を目論んでいる.私には,近隣の国がこの国に武力攻撃を仕掛けてきて国中を荒らしまわる確率や被害よりも,災害で国民が苦しめられる確立や被害の方がずっと現実的に思える.武力を増強するよりも災害支援の増強を考えた方が余程国益にかなう気がするが,これは難しい決断なのか?
繰り返すが,戦争は人の手で止めることができるが,災害は止めることもできないし手加減もしてくれない.