脱炭素に資する技術としてCO2を石に変える技術が新聞の一面に載っていたが,ホンダのカーボンニュートラル燃料が一面で取り上げられていた記憶がない.ホンダは実際にその燃料を自前のパワーユニットに使って2022のF1チャンピオンになっている.今のところ少しコストがかかるようだが,元々特別な燃料を使うF1では特に高額というほどではないそうで,この技術を一般化することは可能だと考えているようだ.だとすれば,今までのエンジンやガソリンスタンドなどが継続できることは大変なメリットだと思うが,いまいち評価されていない気がする.何故か?
脱炭素を梃子にして新しい技術を開発しようとするのはよくわかるが,新しいことが興るとき,前にあるものを上書きしたら世の中は多様にならない.つまり豊かにならないと思う.CO2の問題点を克服しないままにするのはまずいが,カーボンをニュートラルにしたと言っているのだから,そのことの意味をもっとよく知るべきではないだろうか.
以前,似た話しを聞いた覚えがある.日本の石器は,最終的には,世界中で発見されたものに比べて切れ味が極めて優れていたそうだ.ただ,世界では途中から金属製の道具にシフトしていたらしい.冗談でも嫌味でもなく,日本のガラパゴス化は今に始まったことではないとすれば,それは「〇〇化した」のではなく,正に日本の誇るべき文化にすら思える.
政治や報道は,憎い坊主を袈裟ごと憎いことにした方が共感を得やすいと思っているのかもしれないが,前にも書いた通り,本当にグローバルな視点が必要だと思うなら,評価に値する個性をきちっと尊重しないと,いつまで経っても世の中は豊かにならない気がする.