7/17エンゼルスの前半戦が終わった.今日もマルチ安打だったが,多分,大谷翔平の二刀流は去年より洗練されている.予想通りピッチングのパフォーマンスは素晴らしく(あの投げ方で肘は大丈夫なのかと心配してしまうが),打撃の苦戦を埋め合わせて余りある.そして,何よりも個人の完成度にとどまらず,自分がチームに与える影響をを理解し,すべきことを的確に判断して実行できているのがいい.
なかでも,7/14の首位アストロズvsエンゼルスでは彼のスマートさがはっきりと現れていた.この日の先発は大谷で,毎度のことながら彼の大車輪の活躍は凄かった.特に6回のレフト前ヒットにはうなった.3対1でリードの6回裏1アウト1塁で大谷の打席,貧打のエンゼルス打線にあって,大谷はトラウトと共に常にホームランで打線を牽引することを期待されているが,明らかにがら空きのレフト前を狙ったヒットだった.このヒットの持つ意味は大きい.大谷の後ろを打つウォードは今年は大谷やトラウトと同等の打撃になっている.相手バッテリーはまともにストライクゾーンで勝負はできない.スコアリングポジションに置いた状態なら,フォアボール覚悟でボールゾーンで勝負することは明らかだ.しかも,その後を打つレンヒーフォの最近の打撃は上り調子.大谷はそれを承知の上で普段はしない単打を狙った.果たして,ウォードのフォアボールで満塁になってレンヒーフォのタイムリーヒット.更には,その後の打者も続きこの回4点を取り,リリーフの貧弱なエンゼルスでもさすがに勝利を確実にした.
この展開の素晴らしいところは,普段先頭に立って引っ張るヒーローがレフト前ヒットで意図的に脇役に回り,後を打つチームメートに期待していることをプレーで示したこと.こういう言い方は好きではないが,これで奮起しなければ漢じゃない!それは後の打者も分かったはずだ.レンヒーフォの後も続いたことでそれは明らかだ.おそらく,大谷は勝利にはヒーロー以外の力が必要なことを身をもって知り自信をつけて欲しかったのだろう.そうして彼らが活躍すれば,巡り巡って最終的に投手大谷の勝ち星ものびるという寸法だ.前半戦90試合が終わっても,オールスター後70試合もある.後半戦での巻き返しを狙ったに違いない.彼の献身と能力に見合った果実を手にできることを祈るばかりだ.