7月14日のある報道番組で元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫氏に関わる裁判に触れ、コメンテーターが、官僚に国民を向いて職務を全うして欲しいという趣旨の発言をした。その際「カンリ」という言葉を耳にして少し違和感を覚えた。
そのとき「カンリ」=「官吏」つまり官僚を指していると思ったのだが、官吏には戦前の制度下で国家(天皇)に仕える立場の役人のことを指す意味が含まれていて、彼らは被治者である当時の国民を指導するような立場にいた。現憲法の主権者は国民であり、公務員は国民全体の奉仕者に位置付けられている。公務員と国民との関係は戦争の前後で主従が逆転している。
あのときコメンテーターの発言は、「現在の官僚(公務員)の本分は、戦前の官吏とは違う。赤木俊夫氏がそうであったように、国家権力おもねるのではなく国民に向き合ってくれ。」という趣旨だったのだと思うが、官吏と現代の公務員がごっちゃになっているように聞こえたためそこに違和感を覚えた。コメンテーターの発言の趣旨が上述の通りならそれには同感だ。