人は思いたいようにしか思わない

 都合の悪いことに目をつぶるということは、褒められたことではないがよくある。それと同等以上に褒められないことに、目の前の現実の意味するところを捻じ曲げて解釈することもある。あまつさえ、それがさも正しいことであるかのように宣伝することさえある。アメリカ大統領の就任式に集まった群衆の数が、前任者の時より多いのか少ないのかという事実について、報道官が発したオルタナティブ・ファクト(もう一つの真実)という言葉はまさにそれだが、もっと身近な日本政府がしていることはそれに輪をかけて酷い。
 本来、公の機関で行われていることは主権者である国民に成り代わって行われているのだから、外交や防衛に関する一部の情報を除き、開示されて然るべきであるが、それを伏せ、検証できないことをいいことに、正しいことをしていると日本政府は言い張っている。それは政府がしていることだから正しいと言わんばかりである。情報を開示せず国民の検証を阻む行為は、主権者を侵害しており民主主義が成立していない。これは国民や国の未来にとって極めて危険な行為だ。

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